本ってどんな所で出来ているの?~株式会社新寿堂、工場訪問~
株式会社新寿堂の西浜様に和光工場内をご案内いただきました。
和光工場は、2019年に操業開始。
断裁から折、くるみ製本までおこなっています。
無線綴じ機を導入し、製本の工程を効率化しています。
―裁断工程
まずは、紙の断裁を行います。レーザーで切断箇所が示されるものの、
紙の材質などにより切れ方が異なるため、社員が職人目線で微調整をおこなっています。
―折工程
続いて、折りの工程です。こちらの工程では、折のズレなどの不適合品が発生していないかを厳しくチェックしています。罫線や見開きでの絵柄の合わせ目がきれいにつながるように随時抜き取りチェックを行い調整しながらの作業となります。
また、折って直ぐの状態では紙のふくらみがあり、製本がずれる要因になるため、24時間折本(折った紙)を落ち着かせ、圧縮して暑さを均一にします。
―製本工程
投入から製本の完了までのラインスピードはプログラムで制御し、可視化されています。
向きの不揃いなど不適合品が混入した場合は、自動でラインからはじかれるようになっています。
同じ工程で3回発生すると、原因究明が必要な事態となるためラインを停止させています。
製本をおこなう上で糊の品質は重要です。塗布後、乾燥までのリードタイムが短ければよいというものではないそうです。糊の種類によっては、固まるまでに1日のリードタイムが必要となり、その前提でラインを組んでいます。
混入防止のため、紙の端材はエアシューターで自動回収され、リサイクルされます。
―こちらの工場で生まれた本がたくさん!
―現場監督者にインタビューしました!
西浜 哲也様
新寿堂で働き始めて34年!
入社以来、手帳の折工程から手帳の仕上げである、くるみ工程などを経験し、真寿堂の中でも一番の職人。
明るさと厳しさを持ち備えて、品質へのこだわりも強く、メンバーからの信頼も厚く、真の工場のリーダーとしての役割を担っています。
―工場の人数体制は?
11人前後、20代後半~40代のメンバーが中心です。
―工場の繁忙期は?
手帳は9月~11月後半、書籍は2月~4月が繁忙期になります。
―工場の特徴を教えてください
当工場はワンフロアなのですが、ワンフロアの場合、他の箇所が詰まりそうだと感じたら自分の作業を止めて動くことができるのが利点です。
「一か所が動かなければすべてに影響する」ということが頭に入っているので、自然と皆が自立して動くことができる環境になっています。
―工場立ち上げ時は苦労しましたか
機械のメーカーの本拠地であるスイスで研修させていただいたので、基本的な知識は身についていました。
とはいえ、最初はかなり遅い時間まで残って調達することも多かったですね。
書籍は手帳のような製本後の工程がないため、この工場での作業が終わったらすぐにお客様となります。
常に最終工程である認識と、お客様を気にしながら慎重に作業する分、最初はとくに時間がかかりました。
―工場立ち上げ時は苦労しましたか
朝はラジオ体操からはじまります。
また、手のひらに血がついていないか、しっかりとチェックします。
ばんそこうの管理は入念に行っており、何時に使ったか、何枚使ったかも把握できるよう管理しています。
これは、製品を大切にするとともに、自分たちを守るためにも重要なのです。
あと、スマ活(スマイル・笑顔が出るような活動)というものを行っています。
実は、よその会社を見てうちもやろうと思ったのですが(笑)
ポイントがたまったら表彰される仕組みで、当工場はまだ始めたばかりなのですが、
新寿堂立ち上げか時から活躍されている、派遣社員の方も積極的に参加し、盛り上がっています。
今回、工場を訪問させていただきましたが、
温かい雰囲気の素敵な工場でした(取材チーム)。
株式会社新寿堂
70余年で培った『手帳製本技術』を活かし、新たに設備を増強して『並製本』を手掛け始める。
近年では「手帳製本の特化企業」から幅を広げ「製本プロデュース企業」へと大きく舵をとり、デザイン、印刷、製本、物流までの課題を解決するサービスをワンストップで提供している。
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