活用事例vol.1 マルハチロ株式会社 自ら改善に取り組み”変化を楽しめる”人材を育成

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マルハニチロでは、生産マイスターの各級の取得を地域社員の昇格要件(推奨要件)に加え、現場の社員が目標をもってステップアップしていける環境を整えている。
学んだ知識を現場での実践につなげる研修を定期開催するなど、“生きた教育”にするために手間を惜しまない同社がめざすのは、自主的に問題点を見つけ、解決案を考え、自ら取り組む人材。育成にかける強い思いとたゆまぬ努力で“強い現場”を支えている3人のしかけづくりマイスターに話を伺う。
(2018年10月15日発行・広報誌「生産マイスターVol.1」より抜粋)

周囲を巻き込みながら変化を楽しめる人材に

執行役員 生産管理部 部長
山口 龍一氏

「現場では、生産性や品質、安全性の向上に取り組んでいきますが、大事なのは、その際に1人でやろうとするのではなく、周りを巻き込みながら進めること。そして、その変化を楽しめることです」 こう語るのは、執行役員生産管理部部長の山口 龍一氏。 現場には、改善のネタはいくらでもある。それを自分から見つけ、変えていくことを楽しむくらいになってほしいという思いがある。 同社は以前から「ポルフ(PPORF:Practical Program Of Revolutions in Factories)活動」という、4S(整理・整頓・清潔・清掃)など、現場で行うことを20 項目(同社は21 項目) に分類して実践していく改善手法を各工場に導入し、現場に深く根付いている。しかし、当時、石巻工場長であった山口氏の目には、それだけでは不十分と映っていた。

「取り組み方に差があり、底上げが必要と感じていました。また、OJT が中心でしたので、知識不足もありました。とはいえ、多忙な現場で座学の教育は難しい」そのような悩みを抱えていた中で「生産マイスター」に出合った。「自ら学ぶ気持ちを喚起し、幅広い知識と自信を持たせられる。また、共通言語となれば、ローテーションもしやすくなり、多能工化も進められる」と期待した。

実際にテキストを確認してみると、生産に関する総合的知識がベーシック級から1級までの4段階に分かれており、当社工場の役職・階層に適合している。努力する人材を拾い上げられる、工場・グループ内の共通言語にできると確信した。早速山口氏は導入を提案。生産管理部での検討を経て、全社的に導入された。

地域社員の昇格要件に加え、成長意欲を喚起

広島工場 製造課 課長
吉川 勝也氏

まずは、生産管理に携わる総合職社員に昇格後に受講させる形でスタート。2016 年に、工場ごとに異なっていた地域社員の人事制度を統一した際に、4階層ある各職能等級の推奨要件となった。取得を義務づけてはいないが、各等級で身につけるべきレベルを明らかにした。

当時、生産管理部で制度設計を担当した広島工場製造課課長の吉川勝也氏は、「人事部も巻き込み、工場長にもヒアリングし、昇格要件として適切かを検討しました」と振り返る。工場に異動した後も、現場で「あなたは数年以内に昇格の可能性があるので、受けますか」と声をかけて受講を促している。

集合研修で、学んだ知識を現場の実践につなげる

生産管理部 生産管理課 課長補佐
間仁田 哲紘氏

生産管理部では、定期的に各工場から人材を選抜し、若手向けに「ポルフ改善道場」、係長クラスに「ライン責任者研修」を開催している。後者では、生産マイスターの内容の中でもOJT では学びづらい損益分析などを中心に教育する。

講師も務める生産管理部生産管理課課長補佐の間仁田 哲紘氏は、「生産マイスターの知識を当社の現場でどう使うかをイメージさせることを心掛けています」と言う。将来的には、より幅広く、学んだことを現場の実践に結び付けていく考えだ。

こうした支援の効果もあり、受講者から研修について否定的な声がでることはほとんどないという。自分の仕事とのつながりを見出しながら学べているのだろう。

「やったことのモチベーションを持たせる教育を提供できるか、大事なのはそこだと思います。現場の悩みや知りたいことを把握し、学びの意欲を喚起していきます」(山口氏)

「知識を覚えること、合格することだけではなく、自分たちで問題点を見つけ、解決案を考え、取り組む人材をつくっていかないといけません」(吉川氏)

「生産マイスターで『T字型人材』の横棒に当たる総合的知識を身につけるとともに、縦の棒に当たる専門性を深めていくことも重要です」(間仁田氏)

同社の現場の強さは、こうした学びのしかけ人の思いに支えられている。

左/ポルフ活動の1つである労働安全の活動。労災を減らす目的で行っている標語コンクール
右/ポルフ活動の1つ。ポルフの21項目のアクションプランを掲示している。生産マイスターで得た学びを改善活動に活かしている代表的な例

上/ポルフ活動の1つである労働安全の活動。労災を減らす目的で行っている標語コンクール
下/ポルフ活動の1つ。ポルフの21項目のアクションプランを掲示している。生産マイスターで得た学びを改善活動に活かしている代表的な例

マルハニチロ株式会社

水産加工食品の最大手。1880年創業のマルハ(旧・大洋漁業)と1906年創業のニチロ(旧・日魯漁業)を起源とする。「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します。」というグループ理念のもと、幅広い商品を世界中に展開。
売上高:9,188億円(2018年3月期連結)
従業員:10,938人(2018年3月末現在)

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