ものづくり企業を支える幹部クラスの方に、大切にしている理念や取組み、今後の挑戦などについて伺う企画『かんぶさんにききました。』
今回は、株式会社新寿堂の生産本部長として工場を牽引する雲野さんにお話を伺いました。
我々が大事にしているのは、
トップが常々口にする言葉ですが
「失敗には、良い失敗と悪い失敗がある」
つまり、
「挑戦して失敗するのはOK、でもさぼって失敗するのはNG」
という考えのもとに行動することです。
とはいえさぼって失敗する人はいませんが(笑)、ちょっと手を抜くといったニュアンスですね。
同じ失敗するのであれば、チャレンジして一歩を踏み出した結果、仕方なくしてしまう失敗の割合を増やしていきたいという考えを浸透させるのが理想です。
手順書のおかげで、ひとりで複数の場所を担当できるようになった。
コロナ禍によって限られた人員で効率的な生産を実現することが求められました。
そこで「この場所はこの人」という体制から、「誰でも複数の場所に入れる」体制へ変革することにチャレンジしました。
具体的には、生産マイスターで学んだことを参考に作成した手順書をもとに、その手順書に準拠した作業をこの機会に改めて浸透させるという取組みを行ないました。
その結果、異なる作業でも人員の融通ができるようになり、仕事のある場所に人が効率的に配置される生産体制が組めるようになりました。
また、ヘルプで作業頂く方への説明もその手順書のおかげでスムーズになりました。最近は、口頭の説明よりも、手順書に書いてある内容の方が「役に立つ」といわれることもあります(笑)。
さらに、手順書を使って教える際も、ただ教えるだけでなく「なぜこうなのか」という背景も踏まえて説明するようにしているので「言われなくてもできる」方が徐々に増えてきたのも収穫です。
危険個所や不良の発生しやすい箇所は皆で共有し、日々確認する。
安全は何にも優先して大事なことと考えていますので、新人さんへの教育に関してはまず「安全」から入るようにしています。
実際に行っている取組みとしては、今年から「危険個所マップ」をつくり、事故があった場所または潜在的に事故が起こりそうな場所にシールを貼り、そこに入る人は特に注意させるようにしています。
その効果もあって徐々に事故も減っています。この調子でシールをなくしていければと思っています。
普段使用しない箇所も入念にチェック。
今悩んでいるのは、人によって「ここまでやる(ゴールの状態)」という認識が違うことです。どのように認識のギャップすり合わせるか、さらに共通認識を持つようにできるか試行錯誤しています。
たとえば、Aさんは使っていない場所も含めてメンテナンスをするのがゴールと考えていても、Bさんは使っている場所をしっかりとメンテナンスするのがゴール、と認識していることがあります。
普段使用していない箇所が原因で故障が発生することは多く、その原因はゴールの認識の違いから発生するものなので、機械ごとのチェックシートを作成し、それを元にメンテナンスしていますが、個人によってゴールが異なる点はまだ残っています。そこを解消し、ゴールから次へスタートすることが今後の課題と考えています。
その高品質な商品は、改善の繰り返しによって「形」として表れている
という印象を受けました(取材チーム)。
株式会社新寿堂
70余年で培った『手帳製本技術』を活かし、新たに設備を増強して『並製本』を手掛け始める。
近年では「手帳製本の特化企業」から幅を広げ「製本プロデュース企業」へと大きく舵をとり、デザイン、印刷、製本、物流までの課題を解決するサービスをワンストップで提供している。
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